NO177 世相の反映でしょうか。山でも明るいニュースが少ない感じの年でした。
2005/12/30
いつものことながらなかなか更新ができなくて訪ねてくださった方には申し訳ございません。“師”なんてものには程遠いわたしのような者でもばたばたと走り回る師走もついに明日で終わり。要領の悪さばかりが目立つ毎年のことと言えばそれまでですが・・・
それにしても早い12月、そして平成17年です。
暮れになると恒例ですが新聞紙上等では国内外の10大ニュース等をを連日振り返っていますが明るいニュースは少ないですね。最後の最後へ来ても東北地方で大きな列車事故や山の中の温泉地での硫化水素ガスによるガス中毒事故など痛ましい事故が相次いでいます。何年か前にも福島県か栃木県かの火山でも火山性ガスによって登山者が何人か死亡した事故があったことを思い出しました。登山者にとっても教訓を残した今回の事故でした。しかしそれにしても付近になんの注意書きもなかったというのは大きな問題でした。危険が常についてまわる登山と違って、厳寒の秘湯とはいえどマイカーで行ける観光地なんだから。自己責任というものとは全く違う残念な
悲惨な事故でした。一家4人のご冥福を祈るばかりです。
毎年暮れにご紹介する私共の5大ニュースですが、こちらも明るいニュースがちょっと少なかったようです。本当は大きなアドバルーンでも上げて来たる平成18年につなげたかったところですが・・・
2005年5大ニュース
1.北アルプスで相次いだ大きな災害
7/1に上高地の手前の沢渡地籍で大崩落、国道158号線が1ヵ月余り不通に、またお盆には白馬大雪渓上部で大崩落、2人死傷の惨事。鹿島槍周辺でも6/下から7/上にかけての集中豪雨で大谷原から西股出合にかけて崩落や車道の流失災害。これは昨年に続いて2年続きの災害でした。
2.鹿島槍ヶ岳や爺ヶ岳周辺で遭難や急病が多発。
シーズン入り直前の海の日連休の前に滑落事故と急病による死亡事故が2日連続発生。その後も事故や急病によるヘリ救助が相次ぐ。長野県警ヘリ、長野県防災ヘリ、東邦ヘリが過去最多の8回出動。ほかにも歩きでの同伴下山も。関係者の皆さんにはたいへんありがとうございました。
3.終日ガスの最盛期、秋はほぼ毎週末の大雨、遅れた冬の到来等の天候不順。
今夏は朝7時前にはガスが上がり夜まで視界ゼロといった感じの天気が多かったです。秋は天気のよかったのは敬老の日3連休だけでした。とにかくお天気に恵まれた方はほんとうにラッキーだったと思います。そしてだれが予想したでしょうか、今冬のこの大雪とこの早さ。山の上では紅葉シーズンは10日以上遅れ、初雪初氷は3週間以上平年より遅れました。
4.珍しいコバイケイソウの2年連続の大開花。
栄養分を蓄えるために数年に一度しか咲かないといわれるコバイケイソウですが、まあまあ咲いた昨年に続いて今年は久しぶりの大当たりの年になりました。他にも春先の麓でのコブシの大開花や山でのタムシバやシャクナゲ類の大当たり、ナナカマドの実やブナの実の付きがよかったことなど植物にとっては子孫を増やすのに絶好の気候だったのでしょうか。
5.7月に鳴沢岳の崩落箇所を避ける新道を開削。
地盤が軟弱で雪庇の雪どけ時や大雨で崩壊いちじるしい鳴沢岳から新越山荘間の登山道を約100mにわたってバイパス化して新しい登山道を開削しました。最盛期直前の限られた時間の中でスタッフが頑張ってくれました。大いに安全が確保されました。
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杓子岳から白馬大雪渓への崩落現場。迂回する登山道が付けられ復旧しました。 |
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西股出合付近の工事用車道の流失現場。こちらも秋までには復旧。 |
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県警ヘリ『しんしゅう』と柄沢隊員。高山病で最高血圧60以下に下がった女性の救出。 |
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ようやくの、待ちに待った初雪は小屋閉め直前の10月22日。当日は浅間山等も一気に初冠雪。 |
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種池山荘のコバイケイソウ。平成7年以来の大開花はみごとでした。次はいつでしょうか。 |
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安全と可能な限り自然が残るように開削。10年後にはコケもむして自然に同化してくれます。 |
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