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NO417  先の雷雨による登山道への被害報告はありません。

2008  7/ 30(水)

  先週後半から大気の状態が不安定な状況の下、本州各地で雷雨や突風、短時間の集中豪雨等で大きな被害が出ました。当山域でも先週末の7/26(土)はまあまあのお天気で夕立もありませんでしたが、前後の25日と27日午後から28日昼にかけては強い雷雨になり、突風も吹き荒れました。その後は29日、30日とまあまあのお天気が続いています。さいわい今回の雷雨の雨量そのものは30ミリ程度で、雨による登山道への被害等は報告されていません。今回の雷雨では北アルプスでも落雷事故が発生しました。軽傷ですみ幸いでしたが、雷発生時や雷の発生が予想されるような時の、慎重な行動を重ねてお願いいたします。また 北アルプスでは海の日連休以降、今週明けにかけて転滑落事故を中心に疾病を含めて死亡事故が相次いでいます。重ねて慎重な行動、時間に余裕をもったゆっくり登山をお願いいたします。

雷雨のあと。鹿島槍ヶ岳。

先ほどまでの雷が嘘のようなさわやかさ。

静かに開花を待つクルマユリ。

初秋を告げる花。トウヤクリンドウ。

天気

◎7/25,27、28と猛烈な雷雨にみまわれました。29日、30日とまあまあのお天気ですがまだ大気の状態がやや不安定気味ですので注意が必要と思われます。とにかくこの時期雷雨はいつあっても不思議でないので、 いかなる時でも注意が必要なのは言うまでもありません。

◎朝は10度ぐらい、日中は23度ぐらいまで上がっています。雨が降ればこの時期でも温度が急変しますので注意が必要。

◎NHKテレビの天気予報を見る際、北アルプス北部のお天気の目安としては、『長野』のお天気より『新潟』のお天気のほうが近いですので、そちらも参考にしてください。

◎稜線ではシナノキンバイ,ミヤマキンポウゲ、イワカガミ、シラネアオイ、コマクサ、エンレイソウ、キヌガサソウ 、チングルマ、ミヤマダイコンソウ、ヨツバシオガマ、ミヤマキンバイ、アオノツガザクラなどがどんどん咲き出しています。残雪が多かったため例年よりも開花は 若干遅めの感じですが、場所によっては見頃を迎えつつあります。

◎布引岳から鹿島槍ヶ岳頂上間ではタカネツメクサやイワオウギなどの乾いた岩礫地に咲く花々が咲いています。

◎すでに秋のお花であるトウヤクリンドウもつぼみをかなりふくらませてきています。

◎盛夏を代表するハクサンフウロやクルマユリ、ニッコウキスゲ、ウサギギク、エゾシオガマなどもどんどん咲き出しています。

◎種池山荘前のチングルマのお花畑は残雪も消え去り、まもなく登山道沿いのいちばんメインの場所も咲き出しそうです。

◎昨年(H19) は当たり年だったコバイケイソウは今年はお休みの年のようです。種池山荘周辺のコバイケイソウは 数株咲いただけです。

登山ルートの状況

◎鹿島槍ヶ岳及び爺ヶ岳周辺の登山道にはほとんど残雪はありません。軽アイゼン等必要ありません。先の雷雨による被害等は報告されていません。

◎針の木大雪渓はまだまだたっぷりあります。大沢小屋より600mぐらい上から雪渓歩きです。稜線直下や上部では巻き道も出てきています。心配な方は軽アイゼン、ストック等お持ちください。 針ノ木小屋で軽アイゼンを借りて大沢小屋で返却することもできます。

◎鹿島槍ヶ岳から五竜岳の間は特に問題ないようです。 ただし爺ヶ岳から鹿島槍ヶ岳南峰までの間のような比較的なだらかかつ穏やかな稜線歩きとは違い、岩場も多くアップダウンも多いので健脚者、経験者向けです。

◎海の日連休以降、多くの登山者が各コースを歩かれていますが支障報告はありません。

アドバイスや注意

◎海の日3連休以降、北アルプスでは病気による遭難、転滑落による事故が多数報告されています。寝不足や水分不足に気をつけ、時間に余裕を持った計画による山行をお願いします。インターネット等だけでなく、専門家が監修したガイドブックや山岳地図等でしっかりと情報収集をしてください。

◎天気よくなれば温度高く、日差しも一気に強くなります。帽子、サングラス、日焼け止め等忘れずに。最高気温は23〜24度ぐらいです。

◎雷と夕立に注意。2時ごろまでに小屋へ到着するのが最大の安全策でしょう。そのためにも早朝出発に心がけましょう。

◎熱中症対策をお願いいたします。特に女性はトイレを心配して水分の摂取を控え気味ですので、注意が必要です。スポーツドリンク等を早め早めに摂取しましょう。

混雑状況(7/ 30現在)

今週末8/2(土)の冷池山荘 のご予約はほぼ宿泊定員に達しました。現在ご予約はお断りしている状況です。また種池山荘も定員に達しそうです。誠に申しわけございませんが、ご計画中の方は電話でご確認の上、他の日への計画変更をお願いしたいと思います。

◎また種池山荘は8/3(日)、8/4(月)、8/5(火)もかなり混みあいそうです。冷池山荘も3日、4日と少し混みあいそうです。

◎新越山荘の8/ 2(土)は定員まで若干の余裕がありますが、最終的に定員に達すると思われます。必ずご予約をお願いいたします。

◎次週8/9(土)の週末はまだご予約は定員の半分以下です。なお例年お盆の時期は意外と込み合いませんので穴場です。

◎申しわけありませんが冷池山荘、種池山荘、新越山荘ともに個室の予約は承っておりません。宿泊状況によってはお受けできる時もありますので当日に現地にて受付時にご確認ください。

◎ご予約をお願いいたします。お客様に少しでもゆっくりと休んでいただくためにも、私どもにとっても部屋割り等でたいへん助かります。定員を超えるとお断りすることもありますがご協力お願いいたします。

NO416  雷と夕立にご注意。

2008  7/ 26(土)

  昨日までに恒例の長野県内の地元中学校の集団登山が、予定通りにすべて終了いたしました。天候にも恵まれてほとんど雨にもあたることなく、また体調を大きくくずすような生徒さんもおらず幸いでした。なかなか地元に住んでいても登る機会のない北アルプスに登って、まだ大量に残る残雪や見たことのない花々、可愛らしいライチョウのヒナとの遭遇等々、きっとたくさんの思い出に残して元気に下山していってくれたことと思います。いつの日にか今度はご両親を引っ張って再訪していただきたいものです。

  さて昨日は最後の中学校が柏原新道を下山して登山口に到着したころの時間から山の上も久しぶりに雷雨になりました。ここ数日は大気の状態が不安定な状態が続いていますので、いつこのような雷雨になっても不思議でありません。また真夏はそうでなくても日中急激に温度が上がって、大きな積乱雲が沸き立つと、これまたいつ雷雨になってもまったく不思議でありません。この時期は山でも海でも街でも夕立や雷雨がいつ起こっても当然だということを念頭に置いて行動していただきたいと思います。本日も朝からまあまあのお天気ですが、雲行きはあまりよくありません。夕立の可能性がかなりありそうです。とにかく早出早着で山小屋へ1時間でも早く到着するのが最大の対策でしょう。とくに午後の行動は雲行きや遠くから聞こえてくる雷の音により敏感になって的確な判断のもとでスピーディな行動をするようにしてください。

天気に恵まれた今年の中学校登山。また登ってきてくださいね。

互いに励ましあって登った爺ヶ岳。思い出をいっぱいリュックサックに詰め込んでの下山。

NO415  よりフアッショナブルに。

2008  7/ 25(金)

  先の海の日3連休の際にも、お若いカップルやグループが以前に増して目立つような印象をうけました。中高年世代の登山ブームが云われて久しくなりますが、その一方で若い方達はほんとうに少数派になってしまっていたのが昨今の現状です。そんな中で、ここ数年若い方たちが山へ戻ってきているのでは? といった話題がときどき出ることがありましたが、今年はなんかそれを顕著に感じる気がします。しかもフアッショナブルな方が増えています。見ていてもみなさんほんとうに心からリラックスされているようです。身につけているフアッションだけでなく山登りをすること自体がとても素敵でフアッショナブルなことだということがお若い世代に広がれば素晴らしいですね。山の魅力は尽きません。

NO414  その後のコバイケイソウ。

2008  7/ 24(木)

  NO408でもご紹介したコバイケイソウですが、今夏は休養の年になりそうです。週初めの段階では、新越山荘前では紹介した一輪のみでその後はまったく開花しません。また昨年は大乱舞して開花した種池山荘前のコバイケイソウ畑も、数株咲いているだけです。お花そのものも小さめで、大当たりの年のような派手さはなく本当にひっそりと咲いています。雰囲気が少しだけ似ているキヌガサソウなども、ここまでの年によっての落差はありません。我々にはわからないコバイケイソウの子孫繁栄のための摂理があるんでしょうね。

種池山荘前のコバイケイソウはひっそりと。

 新越山荘前の一輪はすでに枯れはじめて。

天気

◎7/19に鹿島槍ヶ岳の両サイド長野県も富山県も梅雨明け宣言が出ました。その後比較的いいお天気が続いています。23,24日と雷雨になりそうな気配はありましたが、降ることはありませんでした。ただしこの時期雷雨はいつあっても不思議でないので、注意が必要なのは言うまでもありません。

◎朝は10度ぐらい、日中は23度ぐらいまで上がっています。

◎NHKテレビの天気予報を見る際、北アルプス北部のお天気の目安としては、『長野』のお天気より『新潟』のお天気のほうが近いですので、そちらも参考にしてください。

◎稜線ではシナノキンバイ,ミヤマキンポウゲ、イワカガミ、シラネアオイ、コマクサ、エンレイソウ、キヌガサソウ 、チングルマ、ミヤマダイコンソウ、ヨツバシオガマ、ミヤマキンバイ、アオノツガザクラなどがどんどん咲き出しています。残雪が多かったため例年よりも開花は遅めの感じです。

◎布引岳から鹿島槍ヶ岳頂上間ではタカネツメクサやイワオウギなどの乾いた岩礫地に咲く花々が咲き出しています.

◎盛夏を代表するハクサンフウロやクルマユリなどもちらほら咲き出しました。

◎種池山荘前のチングルマのお花畑はまだ残雪の下です。雪が早く消えた周囲から咲き出していますが、登山道沿いのメインの場所が咲き出すのはまだかなり先になりそうです。

◎昨年(H19) は当たり年だったコバイケイソウは今年はお休みの年のようです。種池山荘周辺のコバイケイソウは 数株咲き出しているだけです。花の大きさもかなり小さめです。

登山ルートの状況

◎鹿島槍ヶ岳及び爺ヶ岳周辺の登山道にはほとんど残雪はありません。軽アイゼン等必要ありません。

◎針の木大雪渓はまだまだたっぷりあります。大沢小屋より600mぐらい上から雪渓歩きです。稜線直下や上部では巻き道も出てきています。心配な方は軽アイゼン、ストック等お持ちください。 針ノ木小屋で軽アイゼンを借りて大沢小屋で返却することもできます。

◎鹿島槍ヶ岳から五竜岳の間は特に問題ないようです。 ただし爺ヶ岳から鹿島槍ヶ岳南峰までの間のような比較的なだらかかつ穏やかな稜線歩きとは違い、岩場も多くアップダウンも多いので健脚者、経験者向けです。

◎海の日連休の際には多くの登山者が各コースを歩かれていますが支障報告はありません。

アドバイスや注意

◎海の日3連休以降、北アルプスでは病気による遭難、転滑落による事故が複数報告されています。寝不足や水分不足に気をつけ、時間に余裕を持った計画による山行をお願いします。インターネット等だけでなく、専門家が監修したガイドブックや山岳地図等でしっかりと情報収集をしてください。

◎天気よくなれば温度高く、日差しも一気に強くなります。帽子、サングラス、日焼け止め等忘れずに。

◎雷と夕立に注意。2時ごろまでに小屋へ到着するのが最大の安全策でしょう。そのためにも早朝出発に心がけましょう。

◎熱中症対策をお願いいたします。特に女性はトイレを心配して水分の摂取を控え気味ですので、注意が必要です。スポーツドリンク等を早め早めに摂取しましょう。

混雑状況(7/24現在)

◎今週末7/26(土)の冷池山荘と種池山荘の予約状況は、まだ余裕があります。最終的にほぼ定員ぐらいの入り込みになると思われます

◎新越山荘の7/26(土)はほぼ定員に近づいています。これからご計画の方は、他の日への変更をお願いできれば助かります。ご協力ください。

◎次週8/2(土)の週末が夏山シーズン前半のピークになりそうです。各山荘とも相当に混みあいそうです。

◎申しわけありませんが冷池山荘、種池山荘、新越山荘ともに個室の予約は承っておりません。宿泊状況によってはお受けできる時もありますので現地にて受付時にご確認ください。なお例年、お盆の時期は意外と込み合いませんので穴場です。

◎ご予約をお願いいたします。お客様に少しでもゆっくりと休んでいただくためにも、私どもにとっても部屋割り等でたいへん助かります。定員を超えるとお断りすることもありますがご協力お願いいたします。

 

NO413   梅雨明け宣言も出て、にぎわった海の日3連休。

2008  7/ 24(木)

   海の日3連休の初日には、北陸地方にも梅雨明け宣言が出されて、いよいよ夏本番の到来です。山の上は連休の2日目は予想に反して今ひとつのお天気で、終日雨が降ったりやんだりのお天気でしたが、大崩れはなく皆さんほぼ予定通りの行動をされたようです。一昨年、昨年と海の日連休はもとより7月は2年続きのお天気の悪い夏山スタートの年になりましたので、今夏は最高のスタートをきることができました。それまではお客様の動きも今ひとつで心配されましたが、一気に行き交う登山者も増えにぎわうようになってまいりました。連休後もお天気に恵まれており、今週末もまた主稜線は鹿島槍ヶ岳からの大展望に、高山植物の可憐さに歓声が響き渡りそうです。もう鹿島槍ヶ岳と爺ヶ岳周辺の登山道上の残雪に関しては心配はありません。軽アイゼン等はまったく必要ありません。それよりもこれから心配しなくてはならないのは雷と日焼けと熱中症でしょうか。早出早着で小屋には2時ごろまでに到着することとか、トイレをこわがらずに飲料水はしっかりと摂るとかご注意ください。連休以降、北アルプスでは疾患による遭難や、転滑落事故が相次いでいます。くれぐれも体調管理にはご留意され、時間に余裕を持ったゆっくり登山をお薦めしたいものです。以下の写真は連休中のシーズン本番を迎えた爺ヶ岳周辺です。

にぎわいを見せた爺ヶ岳の南峰頂上から、立山剱岳を望む。

扇沢の谷を埋める雲海の向こう、赤沢岳稜線の奥には越中の名峰薬師岳。

美しいハイマツの海と鹿島槍ヶ岳。夏特有の雲が信州側に沸き立つ。

種池山荘前の残雪が消えてチングルマのお花畑が登場するにはもう少し時間が必要。

NO412    絶好のお天気の下、海の日3連休スタート。

2008/  7/ 19(土)

    昨日の梅雨前線南下に伴う大雨も一転、さわやかな夏空が広がる鹿島槍ヶ岳上空です。3連休のスタートにふさわしいお天気になり、連休中もまあまあのお天気なようなのでひと安心です。小屋のほうも今夏山シーズン最初の本格的な入り込みになりそうです。一昨年、昨年と悪天候続きで登山者の入り込みが少なかった7月ですが、今夏はお天気の上でも最良のスタートです。3つの山荘とも3連休へ向けての準備も整い、スタッフもフル回転スタートです。鹿島槍ヶ岳、爺ヶ岳周辺は残雪の心配もなくなり高山植物も日に日に咲き乱れて最高の季節を迎えます。

この連休中は冷池山荘の前庭も生ビール片手にようやくにぎわいそうです。

柏原新道と主稜線の大交差点である種池山荘も今季最初の賑わいをみせることでしょう。

 

NO411    今夜の天気予報を見ていると梅雨明けも、先が見えてきたような・・・・・    

 2008/  7/ 14 

  昨日、今日と地元中学校の集団登山もスタートしました。これまでまだまだお客様もまばらで先週末あたりからようやく動きも見えてきたかなという感じで、いたって静かでしたので、子供たちの残雪の多さに驚く歓声や、地元に住んでいても下界では味わうことのできない北アルプスの醍醐味に感動する素直な姿に、我々スタッフもようやく夏山シーズン到来を感じる昨日、今日です。すでに今週末に迫った海の日3連休へ向けて子供たちからも、元気をもらって体勢を整えていきたいものです。この後中学校登山は15日、16日と種池山荘で、そして来週は22日、23日と種池山荘、23日、24日には冷池山荘にて実施されます。いずれも元気な中学生でやや混みあいますのでご承知おき下さいませ。なにとぞよろしくお願いを申し上げます。                                                                                          さて海の日3連休の予約状況についてですが、ここ3日ほど一気にご予約も増えて参りました。今日現在19日、20日ともに種池山荘で100人超、冷池山荘で150人ほどの予約状況です。また新越山荘は 20日は相当余裕がありますが、19日はかなり込み合いそうです。今夜の天気予報を見ていると海の日3連休中あたりに梅雨明けもあるのかな? という淡い期待も感じられましたので、今後の天気予報次第で直前のご予約が相当増えるものと思われます。 でも“産みの苦しみ”という言葉も、“捕らぬ狸の・・・・・” という格言もありますので、梅雨明けについてはまだまだ余り期待はしないほうがいいかもしれませんね。とにかく今は順調な梅雨明けを待ちたいものです。爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳方面はほとんど残雪の心配もなくなりました。NO409にも書きましたようにどんどんとお花も咲きだしております。ただし種池山荘前のチングルマ畑や冷池山荘テント場先のお花畑、新越山荘周辺のお花畑などはまだ残雪の下で、見頃は例年より遅れて8月に入ってからと思われます。

毎年最後まで残る柏原新道の“ガラバ”の雪渓。カットしてあります。上からの落石にも注意。

今週は地元中学校の集団登山開始。先陣をきって小川中学校。“ガラバ”を慎重に渡れば種池山荘まではゆっくりと30分余り。

7/13は梅雨明け間近を思わせる好天。新越山荘からの蓮華岳と針ノ木岳も爽やか。

除雪機のおかげで新越山荘の前庭も地面が出現。ようやくお客様もお見えになるようになりました。

 

NO410    爺ヶ岳に響き渡るさわやかな音は・・・

2008/  7/ 11

   先日種池山荘に素晴らしい贈りものを頂戴いたしました。私どもの冷池山荘山岳診療所を運営して下さっている千葉大学医学部学士山岳会の皆さんからの、とても立派な半鐘です。もう先生方とは20年余りのおつき合いになりますが、思わぬサプライズ、そしてこんな素敵な音色の半鐘を頂いて大感激です。半鐘の絵柄のモチーフにはライチョウやイワカガミ、ニッコウキスゲなどの高山植物、さらには鹿島槍ヶ岳と爺ヶ岳の連山に建つ三つの山小屋も描かれた凝り様です。会長の真家先生が偶然お知り合いになった山形県は天童市の名工、渡辺梵鐘の菅江浩峰氏にお願いして製作していただいた世界にたった一つのオリジナルの半鐘です。菅江さん自らも絶賛したという出来栄えの重厚感、かといって重苦しくはない優しい感じの鐘のデザイン、そして何よりも我々を魅了する鐘の音色・・・・ 先生方が、柏原新道を登ってきた登山者が鐘の音を聞いて 最後の急登で頑張れるように、雨とガスの中を爺ヶ岳から下ってきた登山者がもう少しだと元気付けられるようにと願いを込めて贈って下さった鐘です。                                                                                                                                                                                                                            先日は種池山荘にて半鐘の納会も行われ、先生方や看護士さんの有志の皆さんが登って来られて無事に半鐘の取り付け、そして真家会長による金属製吊り子の初鳴らしと竜 副会長による木製吊り子の初鳴らしのセレモニーも執り行いました。2種類の音ともに爽やかな、周辺にとけこむ素敵な澄み渡る音色でした。きっと登山に来られた方みなさんの脳裏にも残る思い出深い、忘れがたい音色になることと思います。きっと種池山荘のシンボルにもなってくれることでしょう。先生方には週末や連休を中心に冷池山荘もしくは種池山荘にて救急患者の応対に当っていただいておりますが、院長先生や開業なさっておられる先生も多く皆さんお忙しい方ばっかりです。そんな中を時間をつくって来ていただくだけでも頭が下がる思いですが、今回はこのような素晴らしい半鐘まで贈っていただき、重ね重ね御礼を申し上げるばかりです。心より御礼を申し上げる次第であります。ほんとうにありがとうございました。先生方や看護士さん、皆さん気さくな方々ばっかりで我々スタッフもなんの気兼ねもなくお付き合いさせて頂いております。皆さん心底 山とスキーとお酒が大好きな方ばっかりです。これからも末長くお付き合いいただき登山者やスタッフの体調不良に対処していただければ幸いです。 しっかりとお酒のほうだけはご用意してお待ちしております。                                                                                                  最後に半鐘を製作してくださった菅江様に御礼を申し上げますとともに、この鐘が登山にこられるお客様、千葉大関係者の皆さん、そして山小屋スタッフの心の拠りどころになり、悠久にその音色が響き渡らんことを願うばかりです。

真家会長の鳴らし初め。頂上まで届きますように。

    ライチョウが見守ります。

こちら竜 先生の鳴らし初め。やわらかい音です。

診療所の先生方も “登山力” で頑張ります。

 

NO409    日に日にあざやかに、そして華やかに。

2008  7/ 11(金)

   先週の好天続きが一転、今週は梅雨らしい空模様が続く鹿島槍ヶ岳周辺です。四国、九州、山口と梅雨明けし、その後も一気に北へ北へと梅雨明けが進むものかと淡い期待を抱きましたが、なかなかそううまくはいかないようです。明日からの週末は少し期待できそうな予報もでていますが、岳の上はどうなることでしょうか。

   ここへきての梅雨らしい空の下、雪融けも順調に進み、併せて高山植物の開花も日に日にすすんでいます。冬でも雪があまり着かない主稜線の西側斜面ではミヤマキンバイやミヤマダイコンソウ、ハクサンイチゲ、イワウメ、コイワカガミ、キバナノコマノツメなどが咲き出しています、鹿島槍ヶ岳方面ではハクサンイチゲが見事です。爺ヶ岳ではコマクサも咲き出しています。また7月下旬以降に大きなお花畑になるような所は、比較的残雪がまだまだ残っていますので、雪の消えた端っこから順々に色々なお花が咲きだしています。シラネアオイ、シナノキンバイ、ミヤマキンポウゲ等々です。また林間ではキヌガサソウ、エンレイソウ、マイズルソウ、ゴゼンタチバナ、サンカヨウ、コミヤマカタバミ、ショウジョウバカマ、コイワカガミなどが咲き誇っています。人間と違って梅雨がいつ明けるかなんてことは高山の生き物には関係ありません。雪が消えた場所からどんどんと咲き出さなければなりません。岳の夏は短くて、すぐに秋がやってきてしまいます。 

   皆さんも今夏の山行計画はお決まりになられたでしょうか。当方では例年以上に各山荘のご予約も遅めでしたが、ここへきてようやくご予約も増えてまいりました。早くも次週の週末は 海の日3連休! まだご予約は定員の半分ぐらいですが、最終的には天気次第ではありますが、各山荘ともに定員を超えるものと思われます。夏山でいうと海の日3連休、7月最終週、8月第1週、8月最終週の土曜日は毎年混み合う確立が高い時期ですので、他の週末や平日をご利用いただければ幸いです。

           サンカヨウ

           ミネザクラ

       コミヤマカタバミ        ミヤマダイコンソウ

           イワウメ         ハクサンイチゲ

NO408    今年もいろんな出逢いが・・・・

2008/  7/ 9(水)

   先日新越山荘前のお花畑で、まもなく開花しそうなコバイケイソウを一輪見つけました。咲かない年はそれこそ見事というほど、まったく一輪の花もつけない ほどのはずれ年と当たり年のある花ですが、今年はまったく咲かない大はずれの年にだけはならないようです (ちなみに大はずれの年は北アルプス中といっても過言でないくらいに咲かないんですよ)。

  また新越山荘方面では二組のライチョウの親子に遇いました。二組ともまだ産まれて数日の4羽のヒナと雌親でした。秋には親鳥と同じぐらいに成長した姿を見せてくれるのが今から楽しみですね。親鳥は 今が一番神経を使うときなんでしょうね。両方の親とも、写真を撮ろうとする私を必死に威嚇して追い払おうとしていました。母親は強し、早々に退散です。

  今夏もピークハントだけでない、たくさんの出逢いがある登山にしたいですね。

新越山荘へ行く度に遭えそうな予感。二組の4兄弟が無事に成長しますように。

新越山荘の前に一輪。今夏もコバイケイソウの大乱舞に乞うご期待。

 

NO407    針ノ木岳方面の状況。

2008  7/ 8(火)

   昨日は赤沢岳、スバリ岳、針ノ木岳と縦走して針ノ木大雪渓を下山してきました。先日もこの情報にて書きました携帯電話『FOMA』 の電波状況を確認しながら・・・・  その『FOMA』 は赤沢岳の頂上でのみ唯一アンテナが1〜2本立ちました。しかし4回かけて1回だけ、何とかつながったという状態でした。8月以降のアンテナ増強等による電波の改善を大いに期待申し上げたいところです。

   新越山荘周辺は信州側の登山道上に雪庇の残骸ともいえる雪田がまだ残っていますが、それより南は針ノ木岳頂上を過ぎるまで登山道上に残雪はありません。沿道は雪消えの早かった所からどんどんとお花たちも咲きだし、コマクサ、イワウメ、ハクサンイチゲ、ミヤマキンポウゲ、ミヤマダイコンソウ、シナノキンバイなどなど咲きだしており、歩くのが心から楽しくなります。

   針ノ木岳から針ノ木小屋までの間は、まだ雪が多く、ちょうど針ノ木小屋の支配人さんとスタッフの2人が雪渓上をスコップで広くカットしてトレースをつけて下さっていました。支配人さんとはいろいろと情報交換をしたのち、別れを告げて針ノ木大雪渓を下山してきました。針ノ木小屋から頂上の間の残雪も来週になればかなり少なくなり、海の日連休を迎えられそうです。大雪渓は小屋のある峠から大沢小屋の500mぐらい上まで、1.5kmぐらい続いており快適な雪渓歩きが楽しめます。小屋の直下はまだ、やや急な感じですので、慣れない方は軽アイゼン等を使用なさってストック、ピッケル等でバランスを取りながらの下山が安全かと思います。軽アイゼンは針ノ木小屋でも借りることができ、大沢小屋で返却できます。

   昨日は雲多く立山、剱岳はついに頂上は顔を見せてくれませんでしたが、奥黒部の薬師岳、赤牛岳、水晶岳、野口五郎岳などのたおやかなる山容を針ノ木岳頂上から手に入れることができました。何度目の針ノ木岳頂上でしょうか。なんど登ってもその魅力は増す一方です。

夏山が誘う。スバリ岳稜線からの針ノ木岳。

針ノ木小屋もシーズンイン。後方に蓮華岳。

スタッフの皆さんごくろう様です。峠から頂上へ。

針ノ木小屋からの針ノ木岳と右にスバリ岳。

NO406   NTTドコモが、後立山連峰の『FOMA(フォーマ)』の電波状況改善へ。

2008/  7/ 4(金)

  鹿島槍ヶ岳及び爺ヶ岳の主稜線帯や各山荘付近では前年度平成19年夏山シーズンまでは『ツーカー』とNTTドコモの『ムーバ』が通話状況及び通信状況が良好であり、私どもも最も良好だった『ツーカー』を用いてきました。ただしそれにしましても決して下界ほど良好なものでははなく、つながらないことや切れてしまうことも度々でした。しかしその『ツーカー』も本年の3月末日をもって供用が打ち切られてしまい使うことはできなくなってしまいました。またNTTドコモの『ムーバ』も山岳地帯では、次いで電波状況が良いのですが、その『ムーバ』にしても数年内には廃止される可能性があるようです。現に立山の室堂周辺では、『FOMA』の基地局が整備された今年から『ムーバ』の使用はできなくなりました。室堂についてはソフトバンクにしましても同様であり、第2世代のものの使用はできなくなり、第3世代(3G)の機種のみの使用可になりました。一方NTTドコモの主力である『FOMA』の当山荘周辺での電波状況は、昨年の平成19年夏山の段階ではあまり芳しいものではなく、まれにつながることがある程度でした。またソフトバンク(3G)やauの第3世代のものも山の上では昨夏の段階では同様につながりにくい状況でした。スタッフやお客様のものについて伺っても同様の答えがほとんどでした。

  そんな状況下で本年及び今後の鹿島槍ヶ岳及び爺ヶ岳の主稜線帯での携帯電話事情はたいへん憂慮される事態でしたが、携帯電話の雄とも云うべきNTTドコモ長野が『FOMA』の後立山連峰主稜線帯での電波状況の改善に着手し、今夏以降本腰を入れて整備していって下さるようです。当面は鹿島槍ヶ岳及び爺ヶ岳方面については、大町市周辺にある現在の『FOMA』基地局に、角度を上向きにした山向け用のアンテナを追加増設して対応するとのことです。また従来の平地部向けの『FOMA』は2GHz帯を使用していましたが、今回は山間部での伝搬特性の良い『ムーバ』で使用していたものと同じ800MHz帯を『FOMA』にも使用するそうです。早ければアンテナ追加工事も8月までには実施され、うまくいけば今までは使用が難しかった『FOMA』の電波状態が飛躍的に改善されるかもしれません。大いに期待申し上げたいものです。非常事態発生や、一早い遭難救助の上でもたいへんありがたいお話ですし、お客様にとっても更なる心強い味方になることと思います。ただし山岳地帯にはいろいろな尾根や、前山があったりして思い描いたようにはいかないこともあるかもしれません。 

  そんな中、今夏は北アルプス北部の山小屋も協力申し上げ、山岳向けのアンテナが整備される前の電波状況とアンテナ整備後の状況を比較すべく、山小屋の内外や、頂上、主要な分岐点やポイントで『FOMA』を使用して発信テストを行う予定です。すでに私どもでも調査を開始しており、改良工事前の電波状況を調べています。また工事終了後には電波状態の改善度を調査いたします。今シーズン中の改良工事で、どの程度まで改善が為されるかはわかりませんが、来年以降もさらに山岳向けのアンテナを整備増強していっていただいて、後立山主稜線や各地登山道でも電波状態が改善されていくことを願うばかりです。お客様も山荘へ着いた際には『FOMA』に限らず『ムーバ』でもソフトバンクやauの機種についてでも、頂上ではつながったけれど小屋へ着いたらアンテナは1本立つもののプープーいうだけでつながらないといったような情報を、各山荘の受付が混んでいない際にはお教えいただければ、今後の各社の改善へ向けてもたいへん参考になりますのでぜひよろしくお願いしたいと思います。


日々改良改善されていきます。今後のドコモ『FOMA』に期待。

 

NO405    冷池山荘方面の状況。

2008  7/ 4(金)

   昨夕から未明にかけての雷雨も上がり今朝はお天気も回復傾向です。昨夜からの雨量は15ミリ程で、雪融けをさらに一歩進めてくれました。赤岩尾根最上部に残る雪渓も7月中頃までにはほぼ消えると思われます。また冷池山荘〜鹿島槍ヶ岳頂上の間は、冷池テント場の北方の登山道上にところどころ雪庇跡の雪田が残っていますが、それほど問題はありません。危険なところはカットしてありますので、注意して山側を通行してください。

    また柏原新道も毎年8月まで雪渓が残る “ガラバ” の雪渓以外には残雪も3箇所ほどになり、安心して通行できるようになってきました。順調に例年の夏山登山道の状況になってきています。 沖縄そして奄美地方と順調に梅雨明けもし始めました。このあとも期待したいものですね。なおNO 403でも申し上げましたが、針ノ木岳方面はまだ残雪多いので軽アイゼン等をお持ちになってください。

赤岩尾根の最上部の雪渓。

冷池テント場の北方にはところどころに残雪が。

登山道と雪の上を上ったり下りたり。

布引岳下の布引平にある大きな雪田を往く。

NO404    新越山荘周辺の状況。

2008/  7/ 2(水)

   3日連続の好天です。今朝も梅雨とは思えない青空が広がる鹿島槍ヶ岳周辺です。新越山荘も小屋開けに入ってから10日余りがたちお客様の受け入れ態勢も整って参りました。種池山荘や冷池山荘方面は毎日お客様も動くようになってきましたが、新越山荘から針ノ木岳への縦走のパーティはまだほとんど見受けられません。本格的に動き出すにはもう少し時間がかかりそうです。山荘周辺は主稜線の登山道上に吹き溜まった大量の雪庇跡がまだ残り、山側を注意して通行しなければなりません。NO 403にも記述した種池山荘周辺や冷池山荘テント場北側の雪田というのも、こういった残雪ですので谷側は歩かず絶対に山側を歩いてください。

   この雪が消えたあとにはシナノキンバイ、ミヤマキンポゲ、コバイケイソウ、チングルマ等が咲きほこるお花畑になります。種池山荘〜新越山荘〜針ノ木岳は赤沢岳までは比較的のどかな淡々とした稜線歩きが楽しめ、南側半分の赤沢岳〜針ノ木岳は一転して岩稜歩きも交えた雄々しい稜線歩きになります。常に西側には黒部峡谷をはさんで剱岳と立山が対峙し飽きることがありません。また花の種類も多く、最初から最後までお花好きの方にはたまらない“静かな隠れた花街道”です。今夏はぜひご計画ください。スタッフ一同お待ち申し上げております。

ようやく前庭も出てきたところです。除雪機がまだまだ活躍中です。

新越山荘は今日も気持ちいい朝を迎えました。今朝の温度は5度ほどでした。

 

NO403  新越山荘オープンを祝う好天で7月スタート、いよいよ夏山シーズン到来です。

2008/  7/ 1(火)

   あっという間の7月入り、6/18に柏原新道が通れるようになったのがはるか前のようです。いろいろと準備に追われて当情報の更新も、間が空いてしまい失礼いたしました。先々週の週末の150ミリを超える大雨、そして6月29日にも70ミリを超える大雨が降り、雪融けも一気に進みました。スタッフがあれだけ苦労してカットした柏原新道や赤岩尾根も上部の数箇所の雪渓を残しほぼ消え去りました。アイゼンピッケル等もなくても安心になってきました。種池山荘周辺や冷池テント場の北側の主稜線上にはまだ雪田が残っていますが、これも山側の平らな所を通行すれば問題ありません。また本日オープンしました新越山荘方面は種池山荘から新越山荘間にところどころ残雪がありますので山側を気をつけて通行してください。大きな雪渓はカットしてあります。なお針ノ木岳から針ノ木小屋間には大きな雪渓がまだあり針ノ木小屋でカットして下さっていますが注意が必要です。また針ノ木雪渓はまだまだ距離も長く最上部は急ですので下山時には軽アイゼン等を用意していったほうが無難でしょう。

   雪融けに合わせて高山植物もお花が目立つようになってきました。1月の沖縄のヒカンザクラから始まったサクラ前線もようやく北アルプス主稜線まで到達し、小屋の周りでもミネザクラが咲き出しました。それにあわせるかのようにウグイスの鳴き声もさらに元気に聞こえてきます。先日まではコケモモ、コメバツガザクラ、ミネズオウ、ウラシマツツジなどの地面を這う小低木の見落としてしまいそうな小さな小さな花が目を楽しませてくれましたが、今は雪がいち早く消えた所から早咲きのキヌガサソウやシラネアオイ、ハクサンイチゲ、イワカガミ、ミヤマダイコンソウ、ミヤマキンバイといった誰もがご存知のお花も目だってきました。これから8月の中旬まで雪の消えたところから順々にお花畑をつくっていきます。冒頭に書いた主稜線の雪田が残っているようなところは、7月下旬以降に大きなお花畑が形成される場所です。

   今日の天気予報では夏の太平洋高気圧も強まりつつあるといった解説もでてきました。昨年、一昨年と2年続きでお天気にはあまり恵まれなかった7月ですが、今年はどんなタイミングでの梅雨明けになるのでしょうか。私の希望は平年より10日間ほど早い7/13ごろの梅雨明けですが、なかなか難しいですかね。みなさんも気をもまれる7月の山行計画ですね。

キヌガサソウと隠れるようなピンクはショウジョウバカマ。

種池平の雪が消えてチングルマやアオノツガザクラが咲き出すはまだまだ先です。

残雪たっぷりの針ノ木岳の北東面。

鹿島槍ヶ岳南斜面は黒い部分が増えてきました。