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NO192  ようやく新越山荘を雪の重みから解放してあげることができました。

 2006/05/28

  先週は新越山荘の除雪作業に行ってきました。ヘリコプターで除雪機を冷池山荘より移動してもらっての短期決戦です。ゴールデンウィーク時よりは雪融けもかなり進み、数回のまとまった温かな雨のおかげで雪も相当に腐って柔らかくなっており、作業も順調にいきました。目立った傷みもなく、一ヵ月後の小屋開け作業に向けてほっとひと安心です。今春は岳沢ヒュッテや剣山荘の損壊といった大きなニュースがあり、おなじ山仲間としてたいへん心痛しておりましたが、私共の3軒の山小屋はさいわい夏山シーズンへ向けてスタートをきれそうです。

  このあとは雪融けがさらにスピードアップして登山道が早く姿を見せてくれることを願わんばかりです。登山道にしても山小屋同様雪の重みや雪圧、雪融け時の引っ張り、雪庇による引っ張り等によって相当影響がでます。4月中は全くといっていいぐらいに雪融けが進みませんでしたが、5月に入ってからはまとまった雨が何回も降り雪融けもかなり進んできました。ただし全体的にはやはり平年よりも3週間近く雪融けのスピードが遅い感はいなめません。おりしも九州南部でも梅雨入りしましたが、今後は順調な梅雨入り、そして初夏の暑い日差しと適度にまとまった雨が交互にやって来るようなお天気になってほしいものです。お問い合わせのある柏原新道については、登山口からの少しを除いてほぼ9割方残雪の下に埋まっています。相当に順調に雪融けが進まないかぎり山荘の営業再開予定の6/15には通行できないものと思われます。過去にも6月下旬にずれこんだ年もあります。

  そんな中でも新越山荘からの帰り道、冬のあいだ雪が吹き飛ばされてあまり付かないような斜面では早くもいろいろな高山植物が芽をふきだしていました。北アルプス主稜線でもまちがいなく夏へ向かって季節の針はすすんでいるようです。昨日は白馬岳の開山祭第40回『貞逸祭』が開催され、次週6/4の日曜日には針の木岳の『慎太郎祭』も開催されます。シーズン入り到来近しです。今年は雪融けが遅れているせいか夏山の予約状況も今ひとつ遅れ加減です。5月もすっきりとした五月晴れが少なかった今春ですので、そのぶん夏には大いに期待したいものです。毎年6月第1週の日曜日に開催される『慎太郎祭』の頃には大沢小屋周辺ではムラサキヤシオツツジやオオカメノキが可憐な花をつけて楽しませてくれますが今年はどうでしょうか。


冷池山荘から修理の終わった除雪機をヘリで移動。後方には五竜岳。

G.W中よりはかなり融雪が進んだものの、屋根はまだ三分の一が雪の下。

ようやく1階の窓枠が見えてきました。雪も腐り作業もスムーズにいきました。

ようやく1階の窓枠を掘り出すことができ、傷みもないようでスタッフもひと安心です。

G.W中の雪崩事故以降はほとんどスキーのシュプールが付かない針の木雪渓上部

冷池ではトラブル続きだった除雪機も絶好調。ほんとうに縁の下の力持ちです。

NO191  充実の4日間。小屋のベテランスタッフの雪上訓練をおこないました。

 2006/05/26

  5月中旬に、プロガイドの遠藤晴行先生に登ってきていただき種池山荘周辺で、各種雪上訓練やレスキューの訓練を指導していただきました。遠藤さんはエベレストをはじめ8000メートル峰4座登頂のクライマーであるとともに、現在は山岳ガイドグループ『イェティ』を主宰され各種講習会での技術指導や山岳雑誌等の誌面での技術解説等でもすっかりおなじみの日本の山岳ガイド界の第一人者です。以前に『イェティ』の講習で私共の小屋へも泊って頂いたご縁で今回は指導をお願いいたしました。

  スタッフの技術もうろ覚えのものであったり、すでに過去の技術であったり、進化し続ける登攀器具についていけなかったり、誤った自己流のものであったりといった状態で、もう一度基本に立ち返って学び実戦に対応できるようにと4日間みっちりと指導していただきました。メンバーも自信になるとともに自身の未熟さや反復訓練の必要性も身をもって覚えてくれたことと思います。わたしは後ろ向きに倒れた際の滑落停止へ移る動作が、どうもうまくできなくて体の硬さ? を身をもって再確認することになりました。計画では最終日は爺ヶ岳の東尾根を経て主稜を登攀する予定でしたが、あいにくの早朝の風雨で断念。天候回復後に場所を小屋裏の雪稜に移して6ピッチほどの登攀訓練を実施して締めくくることができました。遠藤先生にはお忙しい中来荘いただき、ご指導を誠にありがとうございました。気さくなお人柄に当山荘では人気急上昇、遠藤ファンも増えたようです。次の機会にもぜひまたよろしくお願いいたします。

  積雪期、残雪期に限らず登山を愛好する方にはぜひとも雪上技術の基本はプロガイドさんにきちんと学んでいただけたらいいなと思っております。私共も山での技術や知識を日日研鑽していきたいものです。


基本中の基本。まずはキックステップから。

小屋の前の雪壁で懸垂下降。う〜んちょっとへっぴり腰。

スタンディングアックスビレーの練習。

小屋裏の雪稜での登攀訓練にて最終日を締めくくる。

遠藤先生(右から3人目)とちょっとたくましくなった?面々。

ツェルトとザックを使った搬送法。繰り返し練習して覚えないと。

NO190 後半は絶好の春山日和だったゴールデンウィークもあっという間に終了。

 2006/05/08

  今年のゴールデンウィークは後半戦を中心にお天気には比較的恵まれたいいゴールデンウィークだったのではないでしょうか。そんな中で連休と連休のはざまの風雨強い5月1日におとなりの針の木大雪渓で雪崩遭難が発生したことだけが残念でなりません。ゴールデンウィーク直前までは本当に天気が悪く、爺ヶ岳の斜面はアイゼンが気持ちいいほど効くクラストした斜面で 、ハイマツに覆いかぶさった雪面が棒小屋沢まで続くといった感じでした。滑落事故をたいへん心配しましたが、終わってみれば恵まれた晴天と温度上昇、はざまの温かな大雨によって一気に雪は融けて緩み見事なトレースができて私の心配も杞憂におわりました。鹿島槍ヶ岳及び爺ヶ岳周辺で事故がなかったのは幸いでしたが、ほんとうにこんな装備でいいのかなといった方が多多見受けられただけにこれからも心配です。 長野県警の統計では今年のゴールデンウィーク中の県内での遭難はここ5年間では最高の14件の発生件数だったとのことです。

  このあと冷池山荘と種池山荘はいったん営業を中止いたします。予定では6月15日には 宿泊営業再開する予定でおりますが、それも柏原新道の順調な雪融けそして開通次第であります。もちろん雪融けを進める大雨や高温が続いて開通が早まることがあれば 営業再開も前倒ししていきます。今年の大量の残雪ですのでどうなることやら。 今の状況では最速でも柏原新道が通行可能になるのは6月中旬以降ではないでしょうか。状況については当H.Pにてまたご確認下さい。 通行できるようになれば直ちにご報告を申し上げます。

  ゴールデンウィーク後半はこれ以上ないぐらいの気持ちのいい春山日和が連日続きました。雪も多く慣れている皆さんは かえって快適なすっきりとした登降が楽しめたようです。 みなさん大いにリフレッシュされ多少のここちよい疲れの中でお仕事に復帰されたことと思います。もう“梅雨の走り”などという言葉も気象情報の中でちらほら聞こえてきましたが、このあとは夏山へ向けて計画立案そして体力増進にお励みください。折りしもニュースで中高年男性の2分の1が“メタボリックシンドローム”なる症状にあるといった衝撃的な報道がありました。当然のことですが普段からの節制と適度な運動が大事なようです。山の上で美味しい生ビールを飲むためにも皆さんがんばってお願いいたします。


気分爽快の朝。鹿島槍ヶ岳めざして冷池山荘をいざ出発。

さわやかな五月晴れの一日。冷池から岩小屋沢岳方面。

鹿島槍ヶ岳東尾根。核心部をぬけ北峰へ向かう。

冷池山荘玄関前はまさに“冷の雪の大谷”でしょうか。

無事冬を乗越えた冷池山荘にはカラフルなテントの華ひらく。

赤岩尾根の稜線直下を慎重に下降。

鹿島槍ヶ岳頂上からの五竜岳方面。

同じく鹿島槍頂上から爺ヶ岳方面を振り返る。

爺ヶ岳から種池平と剱立山連峰。種池平も近年になく雪多し

立山連山を背に種池山荘を出発する縦走パーテイ。

針の木の雪崩跡。右側のスバリ側から発生したと思われる。

眼下には田植えが始まった水田が湖水のように広がる。

NO189  新越山荘の無事も確認できて、まずはひと安心です。

 2006/05/06

  冷池山荘と種池山荘は大量の残雪と悪天候に見舞われた小屋開けでしたが、なんとか除雪も間に合い無事にG.Wの営業をすることができました。ゴールデンウィーク中にはお客様情報で剱沢小屋も大雪のためゴールデンウィークのオープンを延期されたと聞きましたので、私共のもうひとつの山小屋、新越山荘の様子が気になって仕方ありませんでした。今年は全体に残雪が多いのですが冷池山荘では、自分の感覚では小屋周りの残雪はここ数年の1,5倍以上で雪の硬さは3倍以上、除雪にかかった時間は2倍でした。雪による小屋の被害も数箇所見受けられ頭の痛いところです。幸い確認に行った新越山荘も無事に建っていることは確認できましたが、まだほとんど雪の下で細かいところまではわかりません。山小屋は雪の重みによる被害はもちろんのこと、それ以上に雪融けの際に屋根や庇、壁板 や窓枠が引っ張られたり引きずり下ろされたりといった現象のほうが怖いんです。一般の方には何を言っているのか今ひとつ理解できないことかと思いますが・・・ ・  このあと時間をみて除雪へ行って、早く小屋の屋根と庇を全部出して楽にしてあげたいと思っています。以下その際の道中の写真をご覧下さい。 やはり新越方面、針の木方面も残雪は相当に多くあります。現在の残雪の残りぐあいは感覚的には平年よりも3週間以上の遅れという感じです。今年は高山植物の開花も遅れるかもしれませんね。 雪融けには太陽の日差しはもちろんのこと、それ以上に温かなまとまった雨がほしいところです。


中央下に新越山荘の屋根が見える。後方に鳴沢岳、赤沢岳。

鹿島槍、五竜、唐松、白馬岳へと後立山連峰全山くっきり。

針の木峠と遠くに槍ヶ岳。

針の木雪渓に続く蓮華岳の沢はどの沢も残雪多し。

黒部の谷へと続く雪庇張り出す尾根にも春の陽光がさす。

左に針の木岳、右にスバリ岳。

NO188 天候の安定を期待した5月入りでしたが・・・

 2006/05/02

  4月は低温傾向、10回以上の降雪、先週だけでも50cm近い新雪でまったく雪融けが進まなかった稜線ですが、4月28、29日は晴天が続き温度も上昇。4月30日夕方から5月1日朝にかけては、稜線で今年はじめての雨降りになりました。5月1日夕方から5月2日にかけては、雷を伴った再びどしゃぶりになっています。こんな状況の中で5月1日に、針の木雪渓で、残念な3名死亡の雪崩遭難が発生してしまいました。雨や急激な温度上昇は雪融けを進めてくれますが、一方で雪崩や雪庇の崩壊等も誘発しますので、注意が必要です。

  今回のどしゃぶりの雨も、この後回復して5月3,4、5日と全国的に行楽日和の天気予報ですが、入山時には直前の最新気象情報をしっかりとご確認ください。5月1日は大町でも23℃、全国では各地30℃を超えたそうですが、稜線は日中でも30mちかい突風が吹き荒れ、温度そのものは10℃近くまで上がりましたが、とても暖かさは感じられませんでした。寒風吹きすさぶ中での除雪作業でした。

  ここ数年、GWには、夏道が出て夏山気分で歩けた爺ヶ岳稜線もまだまだ雪深く、滑落等要注意です。天候の急変にも要注意です。GW後半の3連休、いい休日、いい春山日和になればいいですね。  


例年以上の時間を要してようやく除雪終了。種池山荘もGWオープン。

新雪後、厳冬期の様相。(爺ヶ岳中峰4/28)

NO187  除雪作業に悪戦苦闘も4月28日にG・W営業開始です。

 2006/04/26

   G・W直前になっても連日肌寒い日が続く鹿島槍周辺です。4/21の大雪に続き4/25も約20cmの新雪です。4/19に入山したときより逆に増えているような感じです。4/26も午後から雪降りです。雨になってくれればいろいろな意味で助かるのですがその気配は感じられません。

   今冬の寒波で小屋周辺の残雪は例年になく多く、しかも異常なほど堅く引き締まり、除雪作業は大変難儀しております。ついには昨日冷池山荘の除雪機が故障してしまう大きなトラブルに見舞われ大慌てで交換部品を取りに山から下りてきた状況です。交換方法なども 機械屋さんに教わり、この後登り直して修理する予定です。無事に直ってくれれば助かるのですが・・・下山してきた爺ヶ岳稜線や爺ヶ岳南尾根も例年にない低温傾向、度重なる4月の降雪で例年のような登山靴がズボズボともぐるような雪の状況ではなく堅くクラストした状態です。あたたかな年のG・Wは“つぼあし”でストック1本で上り下りするような人もいますが今春はアイゼン、ピッケルは必携です。入山前に下見にいった赤岩尾根下部も同様でした。例年でしたら最下部の登山口から800mぐらいの八ッ見ベンチ付近までは雪が消え柏原新道が姿を現わす爺南尾根も4/26現在ほとんど夏道は現れていません。また雪の少ない年は、やぶこぎもあるような中間帯もたっぷり堅い残雪におおわれています。連休中の気象予想もどうも今ひとつのようですので経験の浅い方や他人のトレースをあてにされておられるような方は、くれぐれもお気をつけ下さい。下山時の滑落には最大限ご注意下さい。

   山を下りて来て新聞をまとめ読みしたら剱岳の剣山荘が大雪の影響で今季の営業を急遽中止する旨の記事がありました。いつもなら冷池山荘から除雪が進む剣山荘が双眼鏡で見えるのがわかるのですが、おかしいなぁと思っていた矢先のニュースでした。また過日は岳沢ヒュッテが大雪のためG・Wの営業を中止するというニュースもありました。尚、岳沢ヒュッテオーナーの上条岳人さんはその後不慮の事故で急逝されるという不運も重なってしまい謹んでご冥福をお祈り申し上げるばかりであります。いろいろな意味で山小屋の試練を感じる今春の山岳を取りまくニュース報道でした。

   とにかくG・Wの営業は予定より一日早く4/28より5/7まで開始いたします。ただ除雪作業の遅れ等でいろいろとご迷惑をお掛けするかもしれませんが何卒ご了承下さいませ。又お越しの際は当HPの過去の情報や各種冬山ルート集や冬山記録等を研究されお越しくださるようお願い申し上げます。

   大町市内でも4月下旬になっても度重なる降雪で、ソメイヨシノの開花もすっかり遅れています。早い年なら3/25頃に咲き出す我が家の梅も一ヶ月遅れでようやく開花したところです。

 

   PS:大雪で扇沢出合と大谷原は夏のような駐車台数のスペースが確保できません。路肩駐車、はみ出し駐車に気をつけて下さい。特に扇沢出合はG・W期の黒部ダム観光の大型バス等に多大な迷惑を掛けますので、必ず扇沢駅の市営駐車場に駐車してくださいますようお願いいたします。


ヘリコプターから空撮の赤岩尾根最上部。

中央の右下へ下りる鎌尾根も近年になく残雪多い。

爺ヶ岳北峰の巨大な雪庇。

手前の東尾根、中央に天狗尾根、奥には火打山、妙高山。

冷池山荘から夏山テント場への登り。

遠く越後三山方面の山並みがくっきり。

残雪の多さと堅さに悪戦苦闘の毎日。

看板付近から右へ上がって爺南尾根へ。

例年は登山道が現れている八ツ見ベンチ辺りも深い雪の中。

爺南尾根J・P付近からの扇沢駅方面。雪多く滑落も要注意。

NO186  黄砂の中を入山。今日は真冬の荒天です。   

 2006/04/21

   予定をはやめ、4月19日に降り注ぐ黄砂の中を無事ヘリコプターにて冷池山荘および種池山荘へ入山しました。入山日深夜から雪が舞いだし、20日夕方からは本格的な降雪になり21日は一日中猛烈な暴風雪です。夕方までに小屋周りで1m近い新雪です。いいタイミングで入山できて幸いでした。残雪は全体にかなり多めの感じです。今年の北アルプスは4月になっても全く雨降りにならず、降れば雪降りです。GWも注意が必要です。


4月19日

4月21日

NO185   立山黒部アルペンルートが室堂まで開通。

2006/04/12

  4月10日に立山黒部アルペンルートのうち大町〜室堂までが開通しました。私も大町市観光協会の役員として当日の各駅でのオープンイベントやオープンカーニバルに参加してきました。雪の多かった今冬でしたので残雪の多さは予想していましたが、予想をはるかに超える昨年の1,5倍以上の積雪には少々驚きました。このあとオープンする室堂以西の“雪の大谷”は、さぞや迫力のあるものになるものと思われます。当日は小雨がぱらつくあいにくの天候でしたが、全国からの数千人の応募者から抽選で選ばれた100人の招待客の皆様や毎年恒例の江戸時代の故事“雪のアルプス越え”で有名な佐々成政公の軍団とともに雪の黒部立山を満喫して参りました。

  今年はプロジェクト Xや映画“黒部の太陽”で知られる黒部ダムまでの関電トンネルにトロリーバスが1964年に運行開始してからの総利用者数が5000万人に達さんという年ということで、各駅構内等でも写真展や記録映画の上映等企画イベントも開かれるそうです。さっそく開催されていた建設当時の写真展はどの写真を見ても激動の昭和を生き抜き、世紀の難工事に挑んだ人々のほとばしる情熱をひしひしと感じる珠玉の写真展でした(期間あり)。今夏は鹿島槍ヶ岳登山のお帰りに扇沢へ下山のあとは、ぜひとも黒部ダムへも足を延ばしてみてはいかがでしょうか。


扇沢バスターミナルも例年にない残雪。まだ1,5メートル以上もあります。正面に爺ヶ岳南尾根。

延べ利用者数5000万人突破を目指すトロリーバスの開通式。小百合姫から花束贈呈。

減水期でちょっと残念ですが、その迫力はいつ見ても変わりません。“昭和遺産”の代表ですね。

黒部ダムのすぐ下流にも少しだけ春の息吹が感じられます。

立山ロープウェーの黒部平駅周辺もまだまだ雪深し。ガスで針の木岳や鹿島槍ヶ岳も見えず。

雪崩に備え、駅と駅の間に1ヶ所の支柱もない立山ロープウェーはワンスパン1710メートルの日本一。

富山城主佐々成政の冬のアルプス越えの故事にならっての雪中行軍を再現する恒例の開通イベント。

大町市郊外の西正院のご本尊は佐々成政が寄進したといわれる“大姥様”。ここでも今年の安全を祈願。

写真展から。昼夜を問わず行われたダム本体の生コン打設作業。日々ダムに生命が吹き込まれて行く。

石原裕次郎の“黒部の太陽”でも有名なトンネル貫通の瞬間。こんな笑顔って今ではあまり見られない。

NO184  今春各地で相次ぐ残念な遭難。先々週末も先週末も北アルプスは続発。

2006/04/11

   新聞紙上、テレビニュース等を毎週末のように賑わす各地山岳での度重なる遭難。これだけ多発するにはやはり遭難原因に共通するものが多多見受けられます。先々週末の小蓮華山での遭難にしても先週末の白馬乗鞍岳近くでの遭難も、当日は麓の大町辺りでも朝から土砂降りであったり、終日雪が舞う寒い一日であったりと2000mを超える北アルプスの天気は押して知るべしでした。遠見尾根や笠ヶ岳での山スキーによる雪崩事故にしても、当朝は大町市街地でも2センチほどの新雪が降り遠見尾根の現地では30センチ余りの新雪がそれまでの締まった雪の上にたまり、いつ表層雪崩が発生しても不思議でない状況だったと聞きます。それなのに何故・・・・ いろいろと遭難原因も書かれていますが、私にはやはり今ひとつわかりません。撤退する動機はいくらでもあったと思うんですが。山の持つ魔性の魅力でしょうか。

   私共も来週にはゴールデンウィークに備え入山の予定ですが、手綱を引き締めてまいりたいと思います。最近はゴールデンウィーク登山でも夏山気分で来られる安易な方や、この時期の北アルプスを全く把握されていない方が見受けられます。いつも書いていますが4月、5月の北アルプスはまだまだ冬山の世界です。Tシャツ姿で快適に歩く春山日和のほうが仮の姿だってことをお忘れなきようお願いいたします。

  P.S  今週末の4月15日から5月28日まで大町山岳博物館にて山岳写真家 菊池哲男さんの写真展『白馬』が開催されます。菊池さんは白馬岳や鹿島槍ヶ岳をはじめ、朝日岳から針の木岳まで後立山連峰をライフワークに足繁く通われている若手写真家であります。昨年も池袋や白馬村でも開催して好評を博した同展ですが、ぜひとも皆さんおでかけ下さいませ。


屏風のような大きなパネル写真もあり迫力満点です。

扇沢からの爺ヶ岳南尾根も例年になく残雪多し。

雪崩遭難相次いだ4/9は大町でも雪化粧。

遭難が続いた小蓮華山、乗鞍岳(青木湖より)

まだまだ水冷たい姫川と雨飾山も冬の姿だ。