NO122 梅雨明けも束の間。記憶にないような猛烈な雷雨でした。
2004/07/28
前回の更新の際に、正真正銘の梅雨明けですなんて書いた途端の大荒れの鹿島槍ヶ岳周辺の週末の天気でした。全国的にあっという間に大気の状態が不安定になった先週末は各所で落雷に伴う遭難やケーブルカーのトラブルや短時間の局所的豪雨、ひょうの被害等に見舞われました。鹿島槍ヶ岳周辺も24日(土)と25日(日)の夕方はそれこそあっという間にすごい雷雨になりました。両日ともに雷もひどく24日は新越山荘のアンテナに落雷被害、25日はすでにニュース等でも伝えられたように爺ヶ岳〜種池山荘間で7人パーティに落雷してケガ人が出るという遭難、さらに同じ頃には柏原新道最上部の通称“ガラ場”(最後まで雪渓が残る沢)で登山道が
土石流にて崩落という被害まで起きてしまいました。遭対協隊員と種池山荘スタッフによる雷雨の中での遭難者の救出作業及び介護、また大町の自宅事務所では柏原新道の通行止めを決めて翌日の三つの山荘の宿泊予約者への連絡、関係機関への周知に追われました。また三つの山荘の宿泊者の翌日の下山コースも赤岩尾根に決めさせていただきました。
翌日の26日も雷雨が予想される天候でしたが、幸い天気は持ち落雷によるケガ人は長野県警ヘリによって無事救出、大町病院に搬送され治療をうけることができました。2人の方は重傷でしたが、命には別状なかったことが本当に幸いでした。県警ヘリによる救助中に今度は赤岩尾根下山者が転落するという事故も発生、こちらも県警ヘリのお世話になりました。いっぽう柏原新道については登山口と種池山荘で通行止めにさせていただき、入山の方は赤岩尾根もしくは針の木雪渓入山へ変更していただきました。そうすることによって
、被害は大きなものでしたが、作業はスムーズに進み夕方までに新しい登山道の付け替えを終わらせ、27日早朝に再確認後に通行解除することができました。当初はもう少し時間がかかるかと思われましたが皆さんのご協力とスタッフの懸命な作業によって早急に再開できましたことを感謝申し上げます。
“ガラ場”での土石流による崩落というものは、初めてのことであり驚きましたが、今後は大雨後の確認や登山者への注意を徹底していきたいと思います。今回の被害は7/17
および18日の大雨と24日の猛烈な雷雨で水分を大量に含んでいた土砂が25日の百年に一度ともいえるような短時間の局所的な集中豪雨で崩落したものと思われますが、今後はより気象情報に精通し的確な判断ができるようにしたいものです。また落雷による事故というものも鹿島槍ヶ岳周辺では昭和初期にあったとかなかったとかいわれるぐらいのものであり、危険なことは重々承知しているし雷が近づけばどこへ落ちても不思議でないことも頭の中では理解しているし、当日も聞かれたお客様には今日はいつ雷が起きてもおかしくない天気ですよとは言ってはいたんですが・・・・こちらについても今後いろいろと研究していかねばならぬことと思います。ただ最後は何にしても最終決断するのも判断するのも登山者本人であることは間違いありません。山でも海でも、はたまた自宅の中でも愛車の中でもいろいろな危険がひそんでいます。みなさん個々においても大いに勉強していただきいかなる場面でも冷静に的確な判断ができるようになっていただきたいと思います。
▲天気
◎北陸地方及び新潟県の梅雨明け宣言も7/22に出ましたが、24.25日は大気の状態不安定になり夕方猛烈な雷雨になりました。
◎7/27は終日夏空が広がりました。28日も引き続きいい天気です。 今後の天気は台風10号の動きに注意してください。
▲花
◎稜線ではシナノキンバイ,キンポウゲ、イワカガミ、シラネアオイ、コマクサ、ハクサンイチゲ、エンレイソウ、キヌガサソウ
、チングルマ、ミヤマダイコンソウ、ゴゼンタチバナ、ヨツバシオガマ、ハクサンフウロ、ハクサンボウフウ、ウサギギクなど咲いています。
すでにピークを過ぎようとしている所も。ただし雪の遅くまで残っていたところはまだまだこれからです。
◎ヤマハハコやミヤマアキノキリンソウ、シモツケソウ、カライトソウといった晩夏から初秋の花も咲き出しています。
実をつけているコケモモやクロマメノキも見受けられます。
◎昨年は全くといっていいぐらい咲かなかったコバイケイソウがかなり咲きましたがピークは過ぎました。
▲登山ルートの状況
◎鹿島槍ヶ岳及び爺ヶ岳周辺の登山道にはほとんど残雪はありません。例年にないスピードで消えています。
◎針の木大雪渓も例年よりも少ないものの、まだまだたっぷりあります。心配な方は軽アイゼン、ストック等お持ちください。
◎鹿島槍ヶ岳から五竜岳の間は特に問題ないようです。
◎7/16,17の豪雨で大谷原から西俣出合間の工事用道路に傷みが出ましたが、登山者の通行に支障はありません。ただし今後大雨があった場合は注意が必要です。
◎7/24,25の猛烈な雷雨で柏原新道の最上部“ガラ場”にて登山道の崩落がありましたが復旧作業は終わり通行可能です。ただし今後しばらく大雨があった場合は注意が必要です。
▲アドバイスや注意
◎浮石、落石等に注意。針の木雪渓は軽アイゼン等もあれば安心です。
◎天気よくなれば温度高く、日差しも一気に強くなります。帽子、サングラス、日焼け止め等忘れずに。水などの補給もこまめに取りましょう。
◎梅雨も明けて、これからは雷雨、夕立に要注意です。どんなに好天が予想されていてもカッパはお忘れなく。また遅くとも午後3時ごろまでには小屋へ到着しましょう。
◎ここ数年増加の登山靴の靴底のはがれ。事故の原因にもなりかねません。少しでもはがれ始めていないかしっかりと確認してから家を出発してください。
▲混雑状況
◎お待たせいたしました。冷池山荘改築工事は順調に進み7月15日
(木)にオープンいたしました。今夏のご来荘をお待ち申し上げます。
◎夏の予約は7/31の週末が最も入っています。冷池山荘は既に定員をかなりオーバーしていて既に予約をお断りしています。多少なりともゆったりとできますように、計画をされている方は日程の変更をお願いいたします。併せて前後の30日と8/1もかなり込み合いそうです。
◎冷池山荘は8/2に中学校の集団登山があり込み合います。この日も予約の方以外の宿泊はお断りしております。ご協力をお願いいたします。
◎種池山荘も7/30、31と予約が定員にほぼ達しています。他の日への変更をお願いいたします。
◎申しわけありませんが冷池山荘、種池山荘、新越山荘ともに個室の予約は承っておりません。なお例年、お盆の時期はあまり込み合いませんので意外と穴場です。
ご計画ください。
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